彼女の料理の腕前は?

(ルーク・ガイ・アニス・ナタリア・ティア・ジェイド・

 

 

「あ〜、腹減った!飯〜!」

「ルーク。お前一応公爵家の跡取なんだから、その言葉遣いは・・・」

「あ、今日のメニューはハンバーグなんだね。うわ〜、おいしそ〜!!」

「まあ、本当に!野宿でこんな料理にお目にかかれるとは思いませんでしたわ」

「おや?今日のメニューはハンバーグですか」

「あれ〜?大佐ってハンバーグ嫌いでしたか?」

「いいえ、そんな事はありませんよ。ところで・・・今日の料理当番はアニスでしたか?」

「ううん、違うよ。今日の当番はね〜・・・えっと、ですよ」

「・・・・・・」

「今日はカレーじゃないのね」

「この間、ルークが『カレーはもう飽きた〜』って駄々こねてたから」

「ルーク。作ってもらっているのに、その言い方は無いんじゃない?」

「だってよ。毎回カレーじゃ飽きるだろ?」

「それは・・・」

「おいおい、その辺にしとけって。折角のの料理が冷めちまうだろ?」

「そうですわね。折角のご馳走ですもの。温かい内に頂きましょう」

「あれ?どうしたんですか、大佐?さっきから無言ですけど・・・?」

「・・・・・・いえ、何でもありません」

「んじゃ、いっただきま〜す!・・・・・・ぐっ!!」

「大丈夫か、ルーク。慌てて食べるから喉に詰まらせたりするんだぞ?そんな事しなくても料理は逃げな・・・っ!!」

「・・・・・・っ!」

「ガイ!ナタリア!」

「だ、大丈夫ですわ・・・こ、これは・・・ずいぶんと個性的な味付けと言いますか・・・」

「・・・っていうか、マズ」

「アニス!本人を前にしてそんな・・・っ!」

「・・・マズイ」

「作った本人が言うなよ!!」

「・・・しかし、見た目も匂いもこんなに美味しそうなのに、何で味付けだけ・・・」

「はあ・・・」

「ジェイド、んなため息付かなくても・・・って、何で一口も食べてねぇんだよ!!」

「皆さんはご存知ないでしょうが、はある意味料理の天才でね。見た目も匂いも美味しそうなのに味だけが・・・なんて、普通は作ろうと思っても作れませんよ」

「知ってたんなら、先に言ってくれよ!」

「勝手ににメニューを変更させたのは貴方でしょう?唯一見た目と味のバランスが取れているカレーを、わざわざ彼女に作るようお願いしていたというのに・・・」

「どうしてカレーだけは、まともに作れるんだろ?」

「カレーだけは、何度も何度も練習していたようですから」

「それって大佐がカレー好きだからだよね。やっぱ愛の力ですか〜!」

「そんな事よりどうすんだよ、これ!」

「どうもこうも、全部食べて頂きますよ。貴方の要望通り、折角が腕によりをかけて作ったのですから」

「って、大佐!?」

「うわ!大佐ってば・・・まずいって言いながらも全部食べるなんて・・・」

「・・・そうだな。折角作ってくれたものを残すなんて失礼だからな」

「・・・そうですわね」

「う〜ん・・・頑張るしかないか」

「マジかよ!!」

「・・・マズイ」

「だから、お前が言うなって!!」

 


アビス。

『料理上手な彼女』の続き。

まだ続きます。