ふたりの

(ガイ・

 

「なぁ、。その〜・・・」

「なに?」

「あ、いや。左舷昇降口って本当にこっちでいいのか?」

「解らない」

「解らないって・・・。その割には随分と迷い無く歩いてるように見えるけど」

「勘」

「・・・ああ、そう」

「・・・・・・」

「・・・・・・君、地図がないと目的地に辿り着けないって言ってたけど」

「言った」

「本当に・・・?」

「私、嘘言わない」

「それってかなりの・・・その、方向音痴なんじゃ・・・」

「私、方向音痴。みんなにそう言われる」

「・・・そんなんで大丈夫なのか?」

「大丈夫。住んでるところと軍基地本部内くらいは覚えてる」

「いや、そうじゃなくて・・・ほら、任務の時とか」

「問題ない」

「・・・それは、どうして?」

「私が行かなきゃ行けないところは、大抵戦いの中だから。殺気のある方に行けばいい。だから迷っても大丈夫」

「・・・殺気って」

「でもタルタロスの中には今、たくさんの殺気がある。いっぱい。だからどこに向かったら良いのか解らない」

「・・・なんか、殺伐とした内容の会話だな」

「そうか」

「・・・・・・(俺、本当にルークと再会出来るのか?)」

「・・・・・・」

「・・・ちょっと、ものすごい破壊音とか聞こえるんだけど」

「聞こえる。・・・何の音だろう?」

「もしかしてヤバイんじゃないのか?―――ルークのやつ、無茶してなきゃ良いけど」

「どうだろう?」

「・・・あー、なんか不安になって来た。―――って、おい!どこに行くんだ!?」

「上に行く。もう左舷昇降口どころか、今自分がいる場所も解らない」

「君って、迷子になっても動き回って更に事態を悪化させる典型的なタイプなんだな」

「甲板に出られれば、そこから外に出られる」

「どうやって?」

「飛び降りる。それが一番、簡単」

「・・・まぁ、簡単ちゃー簡単だけど・・・」

「だから、ガイ。上に上る階段見つけて」

「まず、そこからかよ!」

 

 


方向音痴の主人公に振り回される苦労人、ガイ=セシル。