マルクト帝国の軍人２

（ルーク・ティア・ガイ・イオン・ジェイド）

「なぁ、さっきマクガヴァンってじいさんがの事めちゃくちゃ褒めてたけど、あいつってそんなに偉いわけ？やっぱりそんな風に見えねぇんだけど」

「そうね。私もそれほど詳しいわけじゃないけれど、マルクトの軍人としての名が有名なのは確かよ」

「ま、あの若さで中佐の地位に就くくらいだからな。それに異例の昇進スピードって言ってたし、見たところ実力は申し分ない。あれでほとんどの力が封じられてるってんなら、相当の実力の持ち主だぞ」

「・・・へぇ〜」

「それにしても、大佐が昇進しないとも昇進出来ないってどういう事なのかしら？マルクトではそういう決まりでもあるのかしら？」

「部下が上司よりも出世出来ないって？そんな話聞いた事もないが・・・」

「はジェイドと一緒にいる為に軍に入ったのだそうですよ」

「うわっ！イオン！？」

「すみません。驚かせるつもりはなかったのですが・・・」

「別にいいけどよ。それで・・・？」

「あ、はい。はジェイドの役に立つ為に軍に入ったのだと言っていました。ここからは想像ですが、このままどんどんと昇進していくと、は今の第三師団副師団長という立場以上になってしまうでしょう。そうするとジェイドの傍にいられなくなってしまいます。ですから、はこれ以上の昇進を受け入れないのではないでしょうか」

「それはまた、えらく個人的な理由だな」

「まぁ、当たらずとも遠からず・・・というところでしょうか」

「うわっ！ジェイド！？」

「大佐！いつから聞いてらしたんですか！？」

「さて、いつからでしたでしょうね？」

「・・・相変わらずの狸っぷりだな」

「ジェイド。当たらずとも遠からず・・・とは？」

「本人に直接聞いた事があるわけではないので、本当のところは彼女がどう思っているのかは解りません。ただ、ひとつ確実に言える事は」

「言える事は？」

「彼女はもともと、昇進などにまったく興味感心がないのですよ。今まで言われるままに上り詰めてきただけで」

「はぁ！？」

「彼女にとって、肩書きはどうでもいいんです。ただ、そこにいる理由さえあればね」

「・・・なるほど。らしいですね」

「そうでしょう？」

「・・・なんだよ。２人して何納得してんだよ。全然解んねぇっつーの！」

アビス。ルークの疑問、その２。