、ほんとーに一緒には来てくれんとか?」

「ふふふ、辰馬ちゃんってば。その耳は飾り物なの?私は行かないってはっきりキッパリ言い切ったはずだけど」

「そりゃーそうじゃが・・・勿体ないのー」

もう何度も何度も繰り返したその会話をもう一度繰り返して、辰馬ちゃんは漸く諦めたのか肩を落として空を見上げた。

遥か広がる青い空。

その向こうにはどんな世界が待っているのか、私は知らない。

きっとその宇宙に住む人たちにとっては、今私たちがしている事なんて本当にちっぽけな事なんだろう。

宇宙という広い世界に比べて、狭い狭い世界で争う私たちは、もしかすると本当にちっぽけなのかもしれない。

それでも私はそれでよかった。

ここには私にとって大切なものがあって、それはどんな手段を持っても他では手に入れることが出来ないものだから。

たとえこの命が尽きようとも、私は私自身のために戦う事を諦めたりはしない。

「しょーがない。それじゃ、わしはもう行くぜよ」

先ほどまで落胆の表情を見せていた辰馬ちゃんは、けれどにっこりと笑顔を浮かべてそう言った。

いつもいつも思うけれど、切り替えの早さで彼に敵うものなどいないだろう。

「うん、行ってらっしゃい」

私もにっこりと微笑んで、彼に向かいそう告げた。

今日、ずっとずっと長い間一緒にいた仲間が、広い広い宙へと旅立つ。

無限の可能性と、無限の理想を抱えて。

きっと何があっても、彼は笑っているのだろう。

その光景が、目の前に浮かぶようだった。

「今度会う時は、抱えきれん位のお土産を持って帰ってくるきに」

両手をぶんぶんと振って。

いつでも、どんな時でも私たちの心を救ってくれた、あの底抜けに明るい笑顔を浮かべて。

そうして、辰馬ちゃんは広い宙へと旅立って行った。

 

 

別れと立ち

(この後、彼によって何がもたらされるのか、その時の私には想像もつかなかったけれど)

 

 


銀魂

ひろいそらにいるあなたへ