三大仙人の1人・元始天尊の2番弟子であるは、いつもと同じように昼寝を満喫していた。

いつもと同じ日常―――しかしそこにはいつもと違うところがある。

それは、場所。

いつもは玉虚宮から少し離れた場所にある岩山の上で昼寝をしているのに、今日は空を飛ぶ彼女の霊獣・の背の上。

それでは何故彼女はいつもと違う行動を起こしているのか?

それは3日前まで遡ることになる。

 

彼女にが起こったか!?

 

「元始天尊様が2番弟子、参りました」

いつも通り昼寝を満喫していたの元に、元始天尊からの呼び出しを伝えに白鶴がやってきた。

かなり面倒くさかったはそのまま無視したかったのだが、やはり一応は師匠に当たる人物からの呼び出しだけに、しぶしぶ玉虚宮まで足を運んだ。(本当は無視しようとしたに白鶴が泣きついたため)

「おお、久しぶりだのぉ・・・。どうじゃ、修行ははかどっとるか?」

「ご想像にお任せします」

が修行なんてしていないことは、もはや周知の事実である。

だからといって師匠を前に『してません』とおおっぴらに言わない方がいいだろう。―――本人的には言っても構わないが。

「・・・おぬしは仙人になる気は無いのか?」

「ありませんね」

「・・・・・・では何故ここにおるのだ?」

「ここにつれてきたの、貴方でしょ?」

「・・・・・・・・・」

「それよりも、そんな事言う為だけに私を呼んだんですか?」

元始天尊の問いかけにきっぱりはっきり答え、あからさまに面倒くさそうな表情を浮かべて言葉を返すと、元始天尊は諦めたのか深いため息を1つ。

「おぬしは太公望が今どうしているのかを知っておるか?」

ようやく本題に入る気になったのかとは元始天尊の顔を見た。

太公望の動向?

「確か陳桐とかいう妖怪仙人を封神した後、朝歌で王貴人をやりこめて、意気揚揚と妲己のところに乗り込んだはいいけど返り討ちにあって、タイボンとかいう蛇の穴に落とされそうになったところを武成王に助けられて命からがら逃げ出した後、ナタクと楊ゼン味方につけて雷震子にちょっかい出しつつ西岐に向かってるんでしょう?」

「・・・う、うむ。思ったよりも詳細に知っておったようじゃな」

少し気圧された風に元始天尊が呟く。

「それがどうかしましたか?」

そんな元始天尊を気にするでもなく、は話の続きを促した。

「そうじゃ、それでじゃ。、おぬしには太公望の元に赴き、奴の手助けをしてやって欲しい」

「丁重にお断りします」

「・・・何故じゃ?」

「面倒くさい」

自分の欲望に忠実すぎるの言動に、とうとう元始天尊が切れた。

「そんな事ばかり言っとらんで、さっさと太公望のところに行かんかいっ!!」

玉虚宮に激しい物音と、元始天尊の怒鳴り声が響き渡った。

 

 

「・・・というわけで、崑崙山を追い出されたのよ」

「貴方も相変わらずですね、

霊獣・の背に寝そべりながら今ここにいる経緯を話すと、それを聞いているピエロに似た格好をした青年(?)は、穏やかな時間に違わない穏やかな雰囲気で談笑していた。

このピエロの格好をした青年は申公豹という。

世間一般の仙人たちには『最強の道士』と呼ばれるほどの強者で、とは友人関係(?)にある。

が崑崙山にいるときは、いくら申公豹でも会いに来るのは躊躇われるらしく(別に行ってもいいですけど大騒ぎになりますから。←申公豹談)がこうして下界に降りてきた時を見計らっては会いに来るのだ。

「それでこれからどうする気なんですか?元始天尊の言い付け通り、太公望の手助けに行くんですか?」

「う〜ん、私が行ってもする事ないし・・・っていうかする気ないし。でもいつまでもその辺ぶらぶらってのも退屈だから、その内会いに行くよ」

「すぐに行かなくても大丈夫なんですか?」

「構わないわよ。別に元始天尊の命令に従う義理は無いしね・・・」

「貴方は元始天尊の弟子なんじゃないんですか?一応は・・・

「そうね、一応はね

崑崙山の仙人が聞いたら驚きそうなこの会話も、聞いているのがこの2人では呆気なく流されていく。

ちゃんってもしかして元始天尊の弟子じゃないの?』

思わぬ爆弾発言に反応したのは、申公豹の霊獣・黒点虎。

「う〜ん、どう思う?」

『それは僕が聞いてるの!それじゃちゃんは誰の弟子なの??』

黒点虎の質問に、はにっこりと笑みを浮かべて一言。

「・・・内緒」

『えぇ〜!教えてよ!!』

「これこれ、黒点虎。無理やり聞いてはいけませんよ」

「そうよ?乙女には秘密が付き物なんだから」

『乙女って歳でもないくせに・・・』

「何か言った?・・・」

『イイエ、ナニモ・・・』

「っていうか、元始天尊の弟子じゃないとも言ってないけどね」

今までの会話を無駄にするようなの一言に、黒点虎は間の抜けた声を上げる。

「まぁ、それはそれとして・・・」

この会話はこれで終わりという雰囲気を言外に漂わせながら、はゆっくりと起き上がり伸びをした。

これからどうしようか、と思う。

特別やりたい事があるわけではない。

ただこのまま太公望の元に行くのは何となく気が乗らなかったし、だからといっていつまでもその辺ぶらぶらしているのもつまらない。

う〜ん・・・と考えに考えて、ふと名案が浮かんだ。

「申公豹!!」

隣で並んで飛んでいる申公豹を呼び寄せ、なにやら耳打ちをして。

「それは面白そうですね」

「でしょう?」

なにやら意気投合した様子。

「そうと決まれば、さっそく行きましょう」

『『行くって・・・どこに?』』

声をそろえる霊獣に向かい、はにっこりと笑いかけた。

「朝歌よ」

 

 

◆どうでもいい戯言◆

封神演義・第2話です。

ギャグ前提として書いているにも関わらず、ギャグになりきれていないのが悲しい(涙)

さて、さんと申公豹は何を企んでいるんでしょう?

そして朝歌で犠牲になるのは誰だ!?(笑)

次は完全ギャグで行きます。行けるハズ!・・・行けたらいいな。(オイ)

ちなみにさんの霊獣・は、黒いふさふさの犬みたいな感じです。

微妙にちょっと違うんですけど、それに似たような感じ。

いや・・・内容に書いてなかったんで、分かりづらいかと・・・(汗)

更新日 2007.9.13

 

 

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