ハイマに到着し、すぐさまピエトロの治療を施した後。

街の頂上で竜観光の商売をしているという男から竜を借り受ける約束をし、その準備の為明朝まで時間が出来た。

それぞれ思うところもあるだろうというリフィルの提案により、街の外に出ないことを条件として一同に短い時間が与えられ、皆それぞれ思い思いに時を過ごす為に街の中に散らばっていく。

その後ろ姿を見送って、は無言ですぐ側にそびえ立つ救いの塔を見上げた。

圧倒的な威圧感。

空を突き抜けるように果ての見えないその塔をただ見詰めて、ひっそりと溜息を零す。

世界再生が、目前にまで迫っていた。

 

かさなる想い

 

「何してるんだい?」

ぼうっと救いの塔を見上げていたの背後から、声が掛けられた。

それに反応して、ゆっくりと振り返る。

「別に何も」

簡潔に言葉を返して、にっこりと微笑む。―――それに釣られるようにして、しいなもニコリと笑みを浮かべた。

示し合わす事も無く、2人は同時に宿の横に置かれてある木材の上に座り込む。

そうして再び、無言で救いの塔を見上げた。

「・・・もうすぐ、シルヴァラントは再生されちまうんだね」

しいながポツリと呟く。―――それに何の返事も返さず、はただ救いの塔を見詰め続けた。

「コレットは・・・あのレミエルって天使に、テセアラも救える方法が無いか聞いてみるって言ってくれたけど・・・・・・本当にそんな方法があるのかねぇ」

「・・・さあね」

独り言のようなしいなの呟きに、素っ気ない返事を返す。

本音を言えば、そんなものは在りはしないだろうとは思う。

けれどそれをしいなに告げる気は無かった。―――告げても、しいなを追い詰めるだけだと解っていたからだ。

しいなはテセアラを裏切れない。

テセアラを見捨てる事など、できっこない。

それでも、コレットを殺す事もおそらくは出来ないだろう。―――それが出来ないほど、しいなは深入りしてしまっていた。

きっとしいなは、に『きっとある』と言って欲しいのだということは解っていた。

けれどはそんな事は口に出来ない。―――無理だと解っている事を堂々と偽れるほど、彼女もまた器用ではなかった。

「・・・もし」

「なんだい?」

「・・・・・・ううん、なんでもないわ」

「なんだよ、それ」

途中で言葉を切ったを呆れたように見詰めて笑うしいなに、は誤魔化すように笑顔を浮かべた。

もし、シルヴァラントの世界再生が成って。

もし、テセアラを救う方法など無いと現実を目の前に突きつけられれば。

しいなは一体、どうするのだろう?

シルヴァラントが再生されてから慌てても、もう遅いのだ。―――その方法が無ければコレットを殺すかもしれないとしいなは言ったけれど、再生された後コレットを殺してもそれは何の意味もない。

世界再生が成った後、テセアラに戻ったしいなはどうなるのだろう。

きっとその事実を知った者たちから、責められるに違いない。―――どれほど辛い思いをしたかなど考えず、ただそれに関わったしいなを責めるのだろう。

そしてきっと、しいなはそれを受け入れる。

どれほどの恨み言を投げかけられても、どれほど屈辱的な扱いを受けても、きっとしいなはそれを甘んじて受けるのだ。

はぎゅっと拳を握り締める。

そんな事は耐えられない。―――しいなが耐えられても、自身耐えられない。

いっそのこと・・・と、不穏な考えが脳裏を過ぎったその時。

「・・・

絶妙なタイミングで名前を呼ばれて、は我に返った。

無言でしいなに視線を向けると、そこにはしいなの強い眼差しがある。

「何があっても、きっとあたしは今の自分の行動を後悔したりはしないよ。そりゃ最悪の事態を考えると悔しいとは思うだろうけどさ」

「後悔と悔しいと、何処が違うの?」

「ち、違うんだよ!あたしの気持ちの問題さ!!」

頬を赤く染めてそっぽを向いたしいなを見て、はクスクスと笑みを零した。

それに憮然とした表情を浮かべるしいなに、更に笑いが止まらなくなる。

普段は考えている事を悟られる事など無いのに、どうしてこんな時だけしいなは自分の考えを的確に読み取るのだろう。

放っておけば良いのに。

そうすれば、世界再生は阻止される。―――罪悪感は残れど、結果テセアラは救われる。

それなのにしいなはにそれをさせようとしない。

に神子暗殺という罪を背負わそうとしない。

そんなしいなの優しさが嬉しくて、また不器用な性格だと思った。―――自分もきっと人の事は言えないのだろうと思いながら。

「・・・ありがとう、しいな」

聞こえるか聞こえないかという小さな声で呟いたのにも関わらず、それはしっかりとしいなの耳に届いたらしい。

しいなは驚いた表情でに視線を戻し、そこに浮かんでいる笑顔を認めて困ったように笑った。

「何であんたが礼を言うんだよ。それはこっちのセリフさ。―――がいてくれて良かった。ありがとう」

お互い顔を見合わせて、穏やかな笑みを浮かべる。

現状は何一つ解決する糸口さえ見せず、冷たい現実は目の前に迫ってきているというのに。

それでも心の中は、温かだった。

ずっとこの時が続けば良いと、そう思った。

 

 

特に何もする事もないまま、ただ夜は濃さを増していく。

リフィルの配慮でしいなと2人部屋になったは、どうしても寝付けずに静かにベットから抜け出した。

ぐっすりと眠っているしいなを起さないよう気をつけながら部屋を出た後、目的もないままブラブラと誰もいない静まり返った廊下を歩き出す。

ふと物音が聞こえ、なんだろうと興味を引かれてそちらに足を伸ばすと、宿を抜け出すロイドの姿が見える。―――ロイドが宿の外に出る際に開けられた扉からは月明かりが差込み、それは扉が閉まると同時に幻のように消えた。

再び暗闇が広がった玄関口と、耳に痛いほどの静寂。

まるでこの世には誰も存在しないかのような空間がとても不快で、はロイドの身が心配だと自分自身に理由をつけて、後を追うように宿を出た。

少し冷たい風が身体を包む。

肝心のロイドは何処へ行ったのかと辺りを見回して、直感で目に付いた方へと足を踏み出した。

宿を回りこんで街の頂上へと続く大きな道へと出る。―――大した苦労も無く、ロイドは簡単に見つかった。

しかしロイドは1人ではなかった。

ロイドと彼の連れている犬のような動物・ノイシュと、そしてクラトス。

どういう取り合わせなのかと思わず突っ込みを入れたくなっただが、3人の間に漂う雰囲気が第三者を拒絶しているようで、は声を掛けずに踵を返した。

まぁ別に、ロイドとクラトスが2人でいることに問題点も感じないし・・・と心の中で呟いた瞬間、夜の静けさを裂くようなロイドの声が聞こえ慌てて振り返る。

「危ない、クラトス!!」

声と同時にロイドは剣を抜き、クラトスに襲い掛かった謎の人影に切りかかった。

「・・・ぐっ!!」

謎の人影は小さく呻き声を上げて、素早くクラトスとロイドから離れると光を放ち空気に溶けるようにして消える。

「大丈夫か、クラトス!」

ロイドの心配げな声を聞きながら、は今度こそ踵を返して駆け出した。

月明かりに、ボンヤリとだが人影の顔がには見えた。―――遠くで見ていたからこそ、解ったのかもしれない。

当てはない。

そうそう近くにいるとは思えなかったが、それでもは必死に気配を探って辺りを見回す。

不意に見知った気配を感じ、そちらに足を向けた。―――街の外れの茂みに無造作に足を踏み入れ、そこに蹲る男を見下ろして荒くなった息を整える。

「・・・こんな所で何をしているの、ユアン」

声を掛けると、空色の艶やかな髪を1つに纏めた美青年がビクリと肩を震わせて声を掛けたを恐る恐る見上げた。

「・・・、か」

声の主がだと知り、明らかにホッとした表情を浮かべる。

そんなに安心されても困るんだけど・・・と内心思いつつ、それでもユアンをどうこうしようという気は勿論なく、呆れたように溜息を吐き出した。

「質問に答えてないわよ。こんな所で何をしてるの?」

「・・・お前には関係ない」

「うわあ。そういう態度を取られると、色々意地悪したくなっちゃうわ」

にっこりと笑顔を浮かべて呟くと、ユアンはあからさまに視線を逸らす。

そんなに怯えられると、本当に色々したくなっちゃうわねと苦笑を浮かべて、は視線を合わせるように屈み込み、脇腹を強く抑えているユアンの手を剥ぎ取った。

「また手酷く返り討ちにあったものね」

呆れたように呟き、己の手をかざして治療呪文を唱える。

淡い光と共に傷は少しづつ癒え、止まる事無く流れ続けていた血は辛うじてその流れを止めた。

「傷が深すぎる。・・・私の治療呪文じゃこれが限界ね。さっさと帰って本格的な治療を受ける事をお勧めするわ」

かざしていた手を引っ込めて立ち上がると、痛みに歪んだユアンの顔を見下ろした。

「・・・すまない」

「謝罪は良いから・・・どうしてクラトスの命を狙ったのか教えてくれる?」

即座に言い返して、は真剣な眼差しでユアンを見詰める。

自分を知っているクラトスとユアン。

彼らがどういう経緯でを知っているのかは解らないが、2人が自分を知っているという事は2人もお互いを知っているのだろうとは思っていた。

シルヴァラントの人間だと思われるクラトスが、どうして自分を知っているのかという疑問も勿論あったが、それはユアンとクラトスが知り合いだと前提を置けば納得できる事でもある。―――2人が自分に敵対心を抱いていない事から見て、2人もお互い敵対している関係ではないと漠然とそう思っていた。

それなのに、ユアンはクラトスを狙った。

シルヴァラントの神子ではなく、一介の傭兵を。

その理由に思い当たる事は、今のには無い。

の質問に、ユアンの目には戸惑いが浮かぶ。―――何事かを告げようと口を開くが、その口から出てきた言葉は、先ほどと同様のものだった。

「お前には・・・関係ない事だ」

躊躇いつつも告げられた言葉に、は薄く目を細める。

ズキリと胸が痛んだ。―――何故かはにも解らないけれど、ただ無償に淋しい気持ちになる。

それは関係ないと言われたからなのか、それとも別の理由からなのか。

「・・・あっそ」

素っ気無い返事を返して、は元来た道を戻り始める。

問い詰めるようなマネはするつもりは無い。―――それをする事は、何故だか躊躇われた。

ああ、なんかすっきりしないなぁ・・・と夜空を見上げる。

すると不意に背後から声を掛けられ、は立ち止まり首だけでユアンを振り返った。

・・・・・・すまない」

その謝罪は、何の為の?

口を開きかけてまた閉じる。

物悲しい気持ちは胸一杯に広がり、何故だか不意に夢に見た女性の笑顔が浮かんだ。

『この幸せが、ずっと続けば良いのにね』

そう言って笑った女性の顔は、とても幸せそうだった。―――それは前を歩くクラトスとユアンも、手を繋いだ金髪の少年も、そして自分自身も。

その幸せは、一体どんなものだったのだろうかと想いを馳せる。

その幸せは、今の自分たちにはない気がした。

クラトスもユアンも、今の自分たちがあの時のような笑顔を浮かべたところなど見たことがない。

「貴方は・・・謝ってばかりね」

苦笑と共に言葉を吐き出して、は今度こそ振り返らずに宿へと戻った。

苦しげな表情で告げられる謝罪の言葉など、もう聞きたくないと思った。

 

 

宿までの道のりは、行きとは違い帰りはとても長く感じた。

ゆっくりと歩いて帰ってきたからだろうか?―――それとも気持ちの問題か。

とにかくとても疲れて、けれどやはり眠る気にもなれず、はそのまま昼間しいなと座った木材の上に再び座り込んだ。

そこから見える救いの塔は、昼間と何の変わり映えもしない。

けれど夜の闇に浮かぶそれは、とてつもなく不気味に見えた。

「・・・何処へ行っていた?」

思わずブルリと身を震わせたに、低音の声が掛けられる。

「・・・クラトス?」

声のした方を見れば、そこには先ほどロイドと会話をしていた筈のクラトスが立っていた。

どことなく鋭い目付きが、の視線を捕らえる。

何故そんな目をしているのだろうかとぼんやりと思いながら、それでも考えることに疲れ果てて、は苦笑を浮かべ小さく肩を竦めた。

「ちょっと散歩にね」

「・・・全力疾走でか?」

即座に返って来た言葉に驚きつつも、何とかそれを表情には出さずにクラトスを見詰め返す。―――見られていたのかと思うけれど、別に足音を殺す訳でもなく駆け出したのだからバレていても可笑しくないなと苦々しく思った。

「散歩は全力疾走でするのが、私の流儀なの」

「そんな話は聞いた事がないがな」

「最近身に付けた、私の密かな趣味だから」

苦し紛れだと解っていつつも、そう言葉を続ける。―――別にがユアンと会っていても責められることではないとは思うが、そのユアンがクラトスの命を狙っていたのだからおおっぴらにそれを告げるわけにもいかない。

言うつもりはないというの強固な意志を読み取ってか、はたまた最初から問い詰める気はなかったのか・・・。

クラトスは呆れたように息を吐き出すと、至極当たり前だと言わんばかりに自然にの隣に腰を下ろした。

それは即ち、何か話があるということなのだろう。

そう判断したは、クラトスが口を開くのをただ無言で待つ。―――視界に映る救いの塔は相変わらず不気味だったけれど、先ほどのような悪寒は感じなかった。

「もうすぐ・・・」

「・・・・・・?」

「・・・もうすぐ、世界再生の旅も終わるな」

一体何を言われるのだろうかと考えていたは、クラトスから告げられた言葉に拍子抜けした。

キョトンと目を丸くして、ただ救いの塔を見詰めるクラトスに顔を向ける。

「・・・感慨に耽りたいなら、私じゃなくて他の人としたら?」

「何故だ?」

「何故って・・・貴方と一緒に世界再生の旅をして来たのは、私じゃないもの」

極自然に問い掛けられ、は言葉に詰まりつつも何とか考えを言葉にした。

確かに今は一緒に旅をしているが、としいなは途中参加だ。―――しかも神子の命を狙っていた暗殺者。

感慨に耽るならば、ロイドやらコレットやらリフィルやらジーニアスやらとした方がより感動が深いのではないか?

まぁ世界再生の旅の末路を知れば、感動どころでは済まされないけれど。

「別に相手が誰であろうと構わんだろう」

あっさりと言い放たれ、はそりゃ別に良いけど・・・と曖昧な返事を返して、再び救いの塔に視線を戻した。

明日で全てが終わる。

それは良い意味でも、悪い意味でも・・・―――ともかく、1つの区切りではあった。

「クラトスは・・・この旅が終わったらどうするの?」

ふと気になり、視線を向ける事無くは静かな口調で問い掛けた。

「・・・・・・さあな」

長い間を経て、曖昧な返事が返って来る。

「クラトスは傭兵なんでしょう?また次の仕事を見つけなきゃならないのよね」

「・・・そうだな」

だからその微妙な間はなんなのよ・・・と心の中で1人ごちて、は今度は身体ごとクラトスに向き直った。

「私が雇ってあげようか?」

ニヤリと口角を上げて、救いの塔を見詰めるクラトスに問うた。―――クラトスはチラリと横目でを見て、そして小さく笑う。

「お前が、私を雇うのか?一体何の為に?」

「そりゃ、身の安全を守る為よ」

「・・・わざわざ私が守らずとも、お前は1人でも問題なかろう?」

サラリと告げられたクラトスの言葉に、はにっこりと微笑む。―――胸が少しだけ痛んだけれど、その意味を探る気はなかった。

「残念。貴方が守るのは、私じゃなくてテセアラの神子よ」

茶化したように言うと、クラトスは完全にの方へと顔を向ける。

その表情には言葉に出来ない感情が浮かんでいた。

驚きなのか、悲しみなのか。―――ただあまり良い意味でないことだけは解る。

「お前は、テセアラに戻るのか?」

「当たり前でしょ?他に何処に戻れって言うの?」

正直言うと、今もまだゼロスの元に戻る事に躊躇いはあるけれど。

それでもテセアラが衰退するのならば、そんな些細な躊躇いなど気にしている場合ではない。―――すぐにでもゼロスの元に戻って、今後の対策を考えなければ。

「クラトスがいれば、心強いんだけど・・・」

ポツリと漏れた言葉に、クラトスが驚いたように目を見開く。

それと同様に、顔には出さないけれど呟いた本人も驚いていた。

今のセリフはまるで、1人だと心細いと言っているようではないか。

「ま、無理にとは言わないけど・・・」

誤魔化すように取り繕いながら、は軽い調子で笑う。

心細いと思っていたわけでは決してないけれど・・・―――それでも無意識の内にある事を思っていたことは否定するつもりはない。

あの夢のように。

ユアンがいなくとも、金髪の少年がいなくとも、緑の髪の綺麗な女性がいなくとも。

あの夢のように、共に世界を旅したならば・・・あの頃の幸せな気持ちを取り戻せるだろうか?

他には何もいらないと思えるような幸せを、再び得ることが出来るだろうか?

「お前と共に、テセアラに・・・か」

ポツリとクラトスが呟く。―――恐る恐る目を向けると、クラトスは微かに微笑んでいた。

「それも良いかもしれんな」

噛み締めるようなその声に、は微かに目を見開いてクラトスを見返した。

自分で誘っておいてなんだが、まさかそんな返事が返って来るとは思っていなかったのだ。

クラトスは、ジッと自分を見詰めると視線を合わせる。

絡み合う視線。―――まるで時が止まってしまったかのように、何の音も聞こえない。

クラトスの手が、の頬に優しく添えられた。

お互いの顔が、酷く近くに感じられる。

吸い込まれるような深い色をしたの目を見据え、クラトスはゆっくりと顔を寄せた。―――まるで引き寄せられるように、少しづつ距離が狭まっていく。

それが当たり前のように、はそっと目を閉じた。

唇に触れる、温かい感触。

言葉に出来ないほどの愛しさと、切ない想いが胸の中に広がった。

ただ純粋に、幸せだと思える瞬間。

けれど、この時が長く続かない事を2人は知っていた。

その理由はには解らない。―――もしかしたらそれは、夢に見たあの幸せを失ってしまった恐怖を思わせたからなのかもしれない。

だからこそこの温もりが愛しくて、そして・・・酷く悲しかった。

再びゆっくりと顔が離れ、お互いの間に少しの距離が出来る。

視界に広がるクラトスの顔。―――その向こうから、夜明けを告げる白い光が差し込み、はそのまぶしさに目を細めた。

「・・・朝だ」

ぼんやりと、辺りを照らす白い光を見詰める。

希望を思わせるその輝きは、けれど平和な時の終わりを意味していた。

夜が明ける。

世界はまた、動き出す。

自分たちもまた、世界再生の最後の時へと歩き出さなければならない。

頬に添えられたクラトスの手を退けて、はゆっくりと立ち上がった。

「・・・行かなきゃ」

「・・・・・・ああ」

返事と共に、クラトスもまた立ち上がる。

2人は無言のまま、太陽の光に照らされた街を眺めながら宿に向かい歩き出した。

 

 

◆どうでもいい戯言◆

ええ!なんか、急展開!?(笑)

ちょっとクラトス夢っぽくなってきましたか?

というか、何でこんな展開になったのかが私にも良く解りません。

でも救いの塔の前に、クラトスに何らかの意思表示をして欲しいなぁとは思っていたので、まぁ意思表示くらいにはなったかなぁ・・・と。

作成日 2004.11.5

更新日 2008.7.16

 

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