強制的な時代の流れは、人の想いなど簡単に飲み込んでいく。

それでも、ただその一言だけで。

心が温かくなったりもするんだ・・・。

 

いつも

 

ガタガタと揺れる馬車に身を任せて、私たちは一路グレッグミンスターに向かっていた。

山道の中に建てられた国境警備隊の砦に辿り着いた私たちは、そこで懐かしい顔を見かける。―――かつて帝国を相手に活躍していた山賊の頭領・バルカスだ。

彼は解放戦争後、国境警備隊の隊長を任されたらしい。

もちろん突然現れた私に驚いていたけど、事情を話せばすぐにグレッグミンスターまで送ってくれると申し出てくれた。

それに断る理由もなかったし、何よりも早くコウをリュウカンに診せなければならないということから、素直に彼の申し出を受ける事にした。

そして今、少し操作を間違えば大事故に発展しかねないスピードで、馬車はトラン共和国の首都に向かって爆走していた。

 

 

グレッグミンスターに到着してすぐ、コウを取次ぎの兵士に頼んでリュウカンの元へ運んでもらい、これで大丈夫だろうと全員が安堵の息を吐く。

そして今さらながらに、自分が置かれている状態を思い出した。

通された控えの間は、初めてここを訪れた数年前とさほど変化はない。

そう、この場所からすべては始まった。

本当の始まりはいつからだったのか。―――もしかしたらテッドと出会ったときにそれはもう始まっていたのかもしれないけれど、きっかけは間違いなくここだ。

あの時の事が、今でも鮮明に思い出せる。

初めて会う皇帝の姿を思い浮かべて、あの時の私は興奮と少しばかりの恐怖を抱いていた。

震えそうになる足を必死に押さえ込んで・・・所在なげに見渡した部屋の中で、父さんの温かな目に自分を取り戻す事が出来たんだ。

それを思い出して、あの時と同じように部屋の中を見回してみる。

もうここに父さんの姿はないというのに・・・それでも、もしかしたらあの温かな目をもう一度見れるんじゃないかと、そう思って。

だって落ち着かない。

ここに通されたって事は、このまま帰してくれないという事だ。

きっと今ごろはレパントの元に報告が行ってるんだろう。

彼の言い出しそうなことぐらい、簡単に想像がつく。―――あの実直な男から向けられるまっすぐな目に、私は自分が思っていることをちゃんと伝えられるだろうか?

そうでなくても逃げ出したという後ろめたさがあるというのに・・・。

そんなことをつらつらと考えながら部屋の中を落ち着きなく眺めていると、ふとビクトールと目が合った。

瞬間、やんわりと微笑みかけられる。

その微笑みが、とても懐かしくて・・・―――どこかあの時の父さんの優しい目と似ている気がして。

こんな事を言うと、きっと彼は『俺はオヤジかよ!』とか言うんだろうけど。

「準備が整いました。レパント大統領がお待ちです、謁見の間へどうぞ・・・」

コンコンと軽いノックの後、重々しい鎧を来た兵士が部屋にやってきてそれだけを告げる。

「結構早かったね・・・」

「あたしたちの時は、散々待たせたくせに!」

小さな声でぶつぶつと文句を言うナナミに、苦笑を返して。

「そりゃレパントがこの国の英雄を長々と待たせるわけないだろう?」

からかうように私を見て笑うビクトールに、肩を竦めて見せる。

「すぐに行きます」

呼びに来た兵士にそう返事をして、ゆっくりと地を踏みしめるように立ち上がった。

身体の堅さは取れている。

少し緊張してはいるけれど・・・それはまぁ、仕方ないか。

小さく息を吐いて歩き出した私の脳裏に、さっきのビクトールの優しい眼差しが甦った。

それだけで落ち着いてくるのを実感する。

やっぱりビクトールはすごいな・・・なんてことを思いながら、私はしっかりとした足取りで謁見の間へと足を踏み出した。

 

 

戦争終結後、初めて足を踏み入れた謁見の間。

最初にここに来た時と、やっぱりそれほど変わった様子はない。

ただ少し違うのは、一番奥の上座に座る男がバルバロッサではないということと・・・そしてこの部屋に漂う空気だろうか。

あの時感じた重々しい雰囲気とは違う、身の引き締まるような心地良い緊張感。

それこそがこの国が上手く動いているという証拠だろう。

今ならば、あのどこか張り詰めたような空気の意味が理解できた。―――あの時の私には、それさえも察する事が出来なかったけれど。

殿!!」

私の姿を認めた瞬間、レパントが座っていた椅子から勢いよく立ち上がって、私たちの方へ歩み寄ってくる。

「ご無事で何よりです!そして成り行きとはいえ、あなたがこの地に戻られたのを嬉しく思います」

私の正面に立って本当にうれしそうに笑うレパントに、私はやんわりと微笑みかけた。

「ありがとう、レパント」

短く礼を言って、まっすぐな彼の目を正面から見返す。

するとレパントは、私の前から少し身体をずらして先ほどまで彼が座っていた椅子の方へ視線を向けると、そのまま再び私を見据えて言った。

「このトラン共和国大統領の座は、もとより貴女のもの。どうぞこちらへ・・・」

差し出された手に、反射的に身体を引いていた。

一瞬で強張った身体を自覚すると共に、驚いたようなレパントの表情が目に映る。

言われるだろうと思っていた。

彼にしてみれば、この座に納まるべきなのは解放軍のリーダーだった私以外ありえないのだろう。―――レパントはそういう男だ。

だから戦いの後・・・私がいなくなっていることに気付いた時、彼は誰よりも驚いたに違いない。

そして新しく生まれ変わったこの国を成立させるために、彼はみんなの推挙でその座に納まった。―――それが彼の本位ではない事は考える間もなく分かる事だし、そんな中でこの座に座り続けるのは、彼にとってどれほどの重荷になっただろう?

それを押し付けたのは、他でもない私なんだ。

殿・・・なにゆえ・・・?」

驚きと戸惑いと悲しみの入り混じった表情を浮かべるレパントに、私は小さく微笑みかけてユルユルと首を横に振った。

きっと今の私は罪悪感の入り混じった、とても見れない顔をしているだろう。

何も言えずただ首を振る私に、レパントは意を決したように口を開いた。

「そもそも・・・そもそも、何故この地をお去りになったのですか?このトラン共和国は貴女が戦い、貴女が血を流し、貴女が創った国です。この席は、貴女にこそ相応しい」

「それは違うよ、レパント」

反射的に口を開いていた。

「・・・違う?」

訝しげに私の顔を窺うレパントに、今度こそしっかりと笑みを向けた。

「うん、それは違う。このトラン共和国を創ったのは・・・私じゃない。この平和な国を創ったのはレパントたちでしょう?」

「なにを・・・」

「ここはみんなが戦って、みんなが己の血を流して・・・大切な人を失って・・・そして貴方たちが努力の末に創った国でしょう?」

「けれど、貴女がいなければこの国は存在し得なかった!!」

声を荒げるレパントに、謁見の間がシンと静まり返る。

その場にいる誰もが私たちの話の行く末を案じているようで・・・。

「さぁ、殿」

再び差し出された手を、私はやっぱり身を引くことで避けた。

「・・・お嬢」

グレミオの戸惑いの声が耳に届く。―――彼は今のこの状況を、どう思っているだろう?

私は、この国を統べる存在になりたくて戦ってたわけじゃない。

だからといって逃げ出していい理由にはならないだろうけど、それが現実となって目の前に現れた瞬間、怖くなった。

「私が戦ってこれたのは、みんながいたから。みんなが側にいて、助けてくれたから。私自身には何の力もなくて・・・国のトップに立つなんてもっての外だよ」

「そんなこと心配する必要はありません。ここにいるすべての者が、殿の手足となり、貴女を支えるでしょう。もちろんこの私も・・・」

「それならこのままの方が良い。お飾りの大統領なんて・・・必要ないでしょ?」

そう告げれば、レパントはさっきの私と同じように激しく首を振った。

どうして分かってもらえないのか・・・といった風に、拳を強く握り締めるレパントを見ながら申し訳ないという想いを抱いた。

でもね、本当にお飾りの大統領なんて要らないでしょ?

今の状況から見ても分かるように、私がどんなに馬鹿なことを言っても彼らはそれに逆らおうとしないだろう。―――諌めることはあっても、最後にはきっと折れてくれる。

そうでなくても、今の私は老いない身体を持っているんだから・・・。

今は違っても、もしかしたら遠い未来・・・私はバルバロッサと同じ事をしてしまうかもしれない。

普通の時間を生きる彼でさえ道を間違うのだから・・・私がそうならないという保証はどこにもない。

永遠の命を持つ者が治める国がどんな道を辿っているか、知らないわけじゃないでしょ?

北の大国・ハルモニア。―――それを統べる神官長ヒクサクは国を省みず姿を消し、その結果、大国は芯の方からじわじわと腐っていっている。

私はこの国を、そんな風にはしたくない。

私自身の手で、大切な人たちが命を賭けて築いたこの平和な国を、危うい物にしたくない。

「しかし・・・」

「もうよろしいじゃないですか、あなた」

なおも食い下がろうとするレパントに、澄んだ声が掛けられた。

「・・・アイリーン」

それはレパントの妻である、聡明で美しい女性。

アイリーンはにっこりと笑みを浮かべると、ゆっくりとした足取りで私たちの方へと近づいてきた。

「こんなところに閉じ込められて、あの椅子に座っている事よりも大切な事がある。貴方なら分かるでしょう?」

言い聞かせるように問い掛けるアイリーンに、レパントは口ごもる。

それに・・・と、今度は私に視線を向けて。

さんは女の子。女の子は愛しい人の側にいるのが一番ですわ」

「「「・・・は?!」」」

ニコニコと邪気のない笑みを振りまきながら、ある意味爆弾発言をかました彼女は、ね?と同意を求めるように私に話し掛ける。

「そ、そんな奴がいるのか!?」

「聞いてませんよ、お嬢!」

「・・・何でそういう話になるかな?」

即座に反応を示すビクトールとグレミオに脱力する。

「へ〜、恋愛事には興味なさそうな顔してたくせに・・・」

「そうだったのですか・・・」

「いや、だから違うって。妙に納得しないでよ・・・」

さんの彼氏ってどんな人だろうね〜?」

「うん、気になるよね?」

だから、聞け!

勝手な事を話す一同に思わずため息。―――恨みがましい視線を向けると、当のアイリーンは微笑ましいと言わんばかりの笑みを浮かべていた。

「まぁそういうことでしたら、無理にとは言いません」

さっきの押し問答はどこへやら。

意外にあっさりとそう結論を下したレパントに、呆気に取られてしまう。

いや・・・まぁ、諦めてくれた事に対してはありがたいんだけどね。

やっぱりトラン共和国の大統領も、愛妻には弱いのだと。

妙に実感してしまった。

「しかし・・・いつかはこの地に戻ると約束してください」

真摯な目で最後にそれだけを願い出たレパントに、私は今度こそ満面の笑みを浮かべて。

「もちろん」

即答した。

だってここは、私にとってかけがえのない大切な場所だから。

いつになるかは分からないけど、その約束だけは必ず守るから。

「ありがとう、レパント」

いっぱいの想いを込めて、彼にありったけの感謝の気持ちを告げた。

 

 

「くあ〜!疲れた〜!!」

大きく伸びをして、疲れを吐き出すようにそう声を上げる。

今日は本当にいろいろな事があった。

謁見の間での押し問答の後、街に出た私たちはたくさんの人に迎えられて。

解放軍の面々も、そうでない人たちも、みんなが温かい雰囲気を纏っていて。

ああ、本当に平和になったんだな・・・って実感した。

その後、クレオとパーンに再会して・・・懐かしいこの家に帰ってきた。

グレミオ特製のご馳走をいっぱい食べて、今までのことを話して。

楽しかった。

あの戦いの最中は、こんな時間が過ごせるなんて思っても見なかった。

父さんとかテッドとか、昔は一緒に食卓を囲んでいたかけがえのない人の姿はもうそこにはなかったけど。

それでもこんなに心が穏やかになったのは、本当に久しぶりだったから。

夕食の後、宴会に突入した食堂からこっそり抜け出して、ベランダに出てみる。

そこから見える景色は、戦いなんて無縁のように見えて・・・それがさらに私の心を癒してくれた。

「お、こんなとこにいたのか?」

突然背後から声を掛けられて振り返ると、そこには酒瓶を持ったビクトールの姿が。

手にはグラスが2つあって、その1つを私に押し付けるとなみなみとお酒を注ぎ込んだ。

「飲めるんだろ?グレミオから聞いたぞ?」

「あはは、まぁね・・・」

お酒の注がれたコップを口に運んで、その中の液体を一口飲む。

甘い。―――嫌いじゃないけど、ビクトールがこういうお酒を飲むなんて意外だ。

とか思ったら、ビクトールが「甘っ!」と顔をしかめてた。

どうやら私の為に、飲みやすい甘いお酒を持ってきてくれたみたいだ。

そんなことしなくても全然平気なのに・・・という事は言わないでおいた。

「こうやってお前と酒を飲むなんてなぁ・・・」

「そうだね。あの頃は想像もしてなかったよ」

コップに満月の影を映して・・・ゆらゆらと歪む満月を眺めながら小さく笑う。

「ねぇ、知ってた?キルキスがエルフの村を復興させてるんだって。それからクロミミがコボルトの村の村長になったって・・・」

「そうらしいな・・・」

お酒を煽りながら簡単な返事を返してくるビクトールを目の端に映しながら。

「みんな・・・前に進んでるんだね・・・」

しみじみと、呟いてみる。

彼らはやるべき事を見つけて、しっかりと歩き出している。

ビクトールにしたってそう。

同じ時なんてないから・・・今を精一杯生きるしかない。

「・・・なぁ」

「ん〜?」

黙り込んでいたビクトールが、静かに口を開いた。

それを甘いお酒を飲みながら返事をして・・・。

「何で俺たちのところに来なかった?」

「ブッ!・・・けほけほ・・・」

思わず吹き出してしまって、さらにむせた。

「大丈夫か?」

心配そうに顔を覗き込んでくるビクトールに、手で大丈夫だと告げて。

イキナリでびっくりしたのだと・・・そう言うと、彼はふぅんと呟いた。

「お前・・・結構たちと会ってただろ?それだけじゃなくて、他の連中にも。ツァイとか・・・。だけど一番たちと一緒にいた俺とは一度も会わなかった。まぁ、フリックには偶然会ったみたいだけどよ・・・。それって俺らの事避けてたんだよな?」

寧ろ逃げてました・・・とは言えない。

レックナートを使って牢から脱走までしたんだから・・・もう全力だよ。

「・・・なんで俺たちを避けてた?」

幾分か声に勢いがなくなった気がしたのは、私の気のせいだろうか?

むせた際に目じりに浮かんだ涙を拭って、コップに映った満月ではなくて空に輝くそれを目に映す。

大きく深呼吸をして、頭の中の言葉たちを整理しながらゆっくりと口を開いた。

「怖かったから・・・かな」

真っ先に出てきたのは、その言葉。

「怖かった?・・・・・・なにがだ?」

「いろんなことが。戦争に身を投じる事も、多くの人をこの手にかけることも、大切な人を失うかもしれない事も・・・・・・自分を見失ってしまうかもしれないことも」

いろんなことに恐怖を抱いていた。

いろんな事を考えて、臆病になっていた。

「だから・・・ちゃんと自分自身で立てるまで・・・確固たる信念ができるまで、1人で考えたかった・・・」

私の言葉に、ビクトールはちゃんと耳を傾けてくれていて。

そう、この空気だ。

このすべてを受け入れて、包み込んでくれる温かな空気。

ずっと感じたかった・・・なによりも求めていたモノ。

「それで?その『確固たる信念』とやらは出来たのか?」

「さぁ・・・どうなんだろう?」

自分では分からない。

だけどここに来て、レパントとちゃんと話をして。

もう逃げるのはやめようと、そう思った。

みんなのように、ちゃんと前を見て歩こうと。

そう思えるようになっただけ、私は変われたのかもしれない。―――それは本当に小さな変化なのかもしれないけれど。

・・・」

「・・・・・・なに?」

「今のお前にこんな事言うのは、本当は正しくないのかもしれないが・・・」

「・・・うん」

まっすぐに目を見つめてくるビクトールに、小さく笑みを向ける。

「俺たちに力を貸してくれ」

キッパリと言い切られたその言葉に、私はそのまま表情を変えずに彼を見返した。

「明日、都市同盟に戻るときに返事を聞かせてくれ」

そう言って、持ってきた酒瓶をそのままにビクトールはベランダを去っていく。

その後ろ姿を見送って・・・酒瓶から新しいお酒を注いで一気に飲み干した。

「・・・・・・甘い」

大きくため息混じりにそう呟いて、そのままの体勢で自分のコップを背後に差し出した。

「・・・飲む?」

「・・・ええ、頂きます」

静かな足音と共に私の隣に座り込んだ神出鬼没な星見に、その甘いお酒を注いでやる。

ありがとうございます、と礼を言ってお酒に口をつけるレックナートに、彼女はどこから話を聞いていたのだろうと思ったけど、それもどうでもいい事かと思い直した。

柔らかな風に乗って、花壇に咲く花の香りが鼻腔をくすぐる。―――この花の手入れをクレオがしてるんだろうかと思うと、昔の彼女からは想像がつかない微笑ましい姿に、思わず笑みが零れた。

「ねぇ、レックナート」

「なんですか?」

「私、ようやく決めた」

ベランダに置いてある花をつつきながらそう言うと、レックナートのからかうような笑い声が聞こえる。

「長かったですね・・・」

「それを言わないでよ」

クスクスと笑って。

もう逃げない。―――逃げても苦しいという事を知ったから。

前を向いて歩いていくと決めた。―――立ち止まってても、何も変わらないという事を知ったから。

後悔しないために、今を精一杯生きていくと決めた。

「いろいろありがとうね、レックナート」

彼女が宿星のことを教えてくれなかったら、私は今でもバナーの村で死んだように毎日を過ごしていただろうから。

「・・・いいえ」

ただそれだけを返してお酒を飲むレックナートに、私はビクトールが置いて行ったコップを手に取ると、それを彼女が持つコップに軽く当てた。

耳に心地の良い軽い音を聞きながら。

それはまるで私のこれからの先行きを祝福している音のように聞こえた。

 

 

「じゃあ、先に入って説明してくるから、俺が呼んだら入って来いよ?」

何かを企むように笑みを浮かべるビクトールたちに呆れつつも、了解と肩を竦めて見せる。

私は今、同盟軍本拠地・会議室前にいた。

同盟軍が立ってからは、ずっと遠くから眺めるだけだったノースウィンドウの城。

ここに立っている今、私の中に迷いはない。

そりゃ心配は尽きないけど・・・遠くから見ているよりは、ずっといい。

「これで良かったんですね?」

最後にそう確認を取ってくるグレミオに、私は曇りのない笑顔を向ける。

「もちろん」

返事を返したと同時に、扉の中からビクトールの合図が聞こえて。

私は背筋をピッと伸ばし、厚い扉に手をかけた。

 

 

全てを投げ出して、旅に出たあの日から3年。

私の中の錆付いていた時計が、再び時を刻み始めた。

私の新しい物語は・・・―――ここから始まる。

 

 

◆どうでもいい戯言◆

ついに!ついに主人公、同盟軍に参加です!!長かった・・・。(←ほんとにな)

ようやくビクトールとも絡みを・・・と思ったら、レックナートが無意味に出てくるし。

私はそんなに好きか、レックナートが!(笑)

作成日 2004.4.18

更新日 2008.8.3

 

 

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