「・・・もしかして、ここか?」

ビクトールは目の前に立つ城を見上げて、眉をひそめた。

ひょんな事から『炎の英雄』の情報を仕入れたビクトールは、それを確かめるべくヒューゴたちと共に『炎の運び手』のアジトであると噂される湖の城へとやってきた。

その湖の城に『炎の英雄』がいるかどうかはともかくとして、そういう噂が広まっているのならもここに来ている可能性が高いとビクトールが踏んだからだ。

「・・・うん、多分」

怪訝そうに表情を歪めるビクトールに、ヒューゴは自信なさ気に返事を返す。

とにもかくにも、とりあえずその『湖の城』とやらに到着した事に間違いはなさそうだ。

 

を受け継ぐ者

 

いつまでも突っ立ったまま城を眺めているわけにもいかず、一行は窺うように敷地内に足を踏み入れた。

見るともなしに辺りを眺めると、城壁のあちこちが風化しボロボロに崩れ落ちている。

あまり手入れがされていないのか雑草も伸び放題で、城というよりは廃墟と言った方がしっくり来る。

それでも人の生活の気配はそこらにあって、この城には間違いなく人が住んでいることだけは分かった。

警戒しつつもゆっくりと歩みを進めると、広場の前の石柱に鎧が立っていた。―――いや、鎧を着た・・・女の子だ。

まだ幼いと言っても差し障りのない少女が着るには分相応で、『着ている』というよりは『着られている』と言った印象を受けた。

「ちょうどいい。ともかくあいつにこの城の責任者に取り次いでもらうか」

人の気配を感じるのと、実際に人の姿を見るのとは違う。―――こうしてこの城に住んでいるらしい少女を目の当たりにして、一行の表情に少しだけ笑みが浮かぶ。

さっそく声を掛けようとヒューゴが一歩を踏み出した時、しかしふと敷地の奥から数人の足音が聞こえ、一行は思わずその場で立ち止まった。

「・・・あれは」

こちらにやってきたのは、ゼクセン騎士と・・・―――おそらくはゼクセン評議会の議員だと思われる態度のでかい男。

男はその雰囲気に違わずでかい態度で城を出て行こうと・・・―――と、道の脇に身を避けたヒューゴたちを一瞥して、男は冷ややかな笑みを浮かべた。

「なんだ、お前カラヤの者か?こんな所で何をしている?」

「・・・・・・」

話し掛けられたヒューゴは、しかし口を開こうとはせず鋭い視線で男を睨みつけた。

それが気に食わなかったのか。―――男は意地の悪い笑みを浮かべ、さらに言葉を続ける。

「ふん。どうやら野蛮で低俗なこいつらには言葉が通じんようだな」

下品な笑いを零す男に、ヒューゴは我慢しきれずにとうとう口を開いた。

「なんだと!?」

「おい、やめろヒューゴ!」

今にも殴りかからんばかりの様子のヒューゴに、ジョー軍曹が慌てて羽をばたつかせた。

男に向かい嫌そうな表情を浮かべていたリリィも、流石に面倒事には巻き込まれたくないのか珍しく止めに入る。

「まぁまぁ、そんなにカッカすんなよ。・・・スイマセンねぇ、こいつ短気なもんで」

一触即発の雰囲気に、ビクトールは呑気な口調で割って入った。

「なんだ、お前は?お前もグラスランドの人間か?」

物色するかのように目を向けた男に、ビクトールは豪快に笑う。

「いや、俺は単なる旅人だ。たまたまこの辺りを通りかかりましてね。見たことない城があるからなんだろうな〜と思って見に来たんですよ」

「ふん。ここはゼクセン領だ。関係のないものは早々に立ち去れ」

「ああ、スイマセンねぇ。すぐにどっか行きますから」

ヒューゴを背中に隠すように立ち、男に向かいへらへらと笑みを送る。

男は納得したのか、そうでないのか。―――ともかくも『時間がない』と言う騎士の言葉に従って、『早く出て行け』と念を押してから城を去っていった。

その後ろ姿を見送って、小さくため息を吐く。

「・・・・・・ビクトールさん」

不満気な声に振り向けば、声色に違わず不満気な表情を浮かべたヒューゴと目が合う。

ビクトールは思わず苦笑して、ヒューゴの頭を乱暴に撫でた。

「お前の気持ちは分かるが、ああいう奴は相手にしないのが一番だ。自分の誇りを守る事は大切だが、時と場合によるだろ?とりあえず俺たちは今、ここから追い返されるわけにはいかねぇんだしな」

諭すように言うと、まだ少し不満そうではあったが納得したのか渋々頷く。

彼としても、ジンバと約束した『炎の英雄』の有無を確認しなければならないのだ。

「よし、それじゃあまずはここの責任者に会わねぇとな」

暗い気分を吹っ飛ばすように明るい口調で言うビクトールに、ヒューゴは少しだけ表情を緩めた。

とりあえず、やらなければいけない事を片付けてしまう必要がある。

ビクトールの思いは、ここに仲間がいるといいな・・・というものだけなのだけれど。

 

 

「はあぁぁぁぁ・・・」

結局すべてが空振りに終わり、ビクトールは深いため息を吐いた。

ゼクセンの議員と一悶着を起こした後、この城・・・―――ビュッデヒュッケ城の警備隊長だと言い張るセシルに案内されて、城主であるこれまたヒューゴと同じ年頃の若い少年と会い、噂がタダの噂でしかない事を知った。

どこでそんな噂が立ったのかは分からないが、この城には『炎の英雄』もいなければ、彼が率いる盗賊団『炎の運び手』たちもいない。

それどころか、捜し求めた仲間たちの姿もなかった。―――いや、なかったこともないのだけれど。

ビクトールはチラリと視線だけで自分の足元を見る。

そうして極控えめにため息を吐いたのだが、生憎と人より耳の良い彼にはそのため息はしっかりと聞こえていたようだ。

「グルルルル!」

「唸るんじゃねぇよ」

軽く牙を向いて唸る銀色の毛並みをした狼に向かい、ビクトールは疲れたように呟く。

確かに仲間がいれば良いなとは思っていた。―――思ってはいたが、何故よりによってこの場にいるのが彼なのだろうか。

かつてが拾ってきた銀狼。

ルカという、なんとも因縁のある名をつけられた銀狼は、数年経っても一向に以外には懐こうとはしない。

まぁ、当初と比べていきなり襲い掛かられる事はなくなったので、幸いといえば幸いだが。

『炎の英雄』の噂がでまかせだった上に、その噂に引かれてやってきたのが彼だけだとは。

ビクトールとしては噂が本当でも嘘でもどちらでも良かった。―――その噂に引かれてたちがこの場に来ていさえすれば。

とりあえず、ゆっくり滞在して行って下さいという城主トーマスの言葉に甘える事にした一行は、用意された部屋で早々に身体を休める事にした。

城の状態はともかく敷地だけはかなりあるようで、広いそこを見て回るのも面白そうだとは思うが、いかんせん身体の疲労が辛い。―――ビクトールは、やはり歳か・・・とため息を零した。

しかし身体を休めるとは言っても、まだ早い時間なので眠る気にもなれず。

できれば酒でも飲みたいところだが、城の経済状態がかなり悪いらしく酒のストックなどないと執事であるセバスチャンに告げられたビクトールは、する事もなくベットに横になって再びため息を零した。

「・・・あの、ビクトールさん」

いい加減暇を持て余していたビクトールに遠慮がちに声を掛けたのは、ジョー軍曹と敷地内を散歩に行ったはずのヒューゴだった。

「お、どうした?散歩はもう終わったのか?」

「えっと・・・うん、まあ・・・」

どことなく歯切れの悪い口調に、首を傾げる。―――と、ヒューゴは言いにくそうに目線を泳がせながらビクトールの寝転がっているベットに腰を掛けた。

「ビクトールさんは、炎の英雄に会ってどうしたいの?」

突然といえば突然の質問に、ビクトールは訝しげな視線を送る。―――するとヒューゴは、またもや視線を泳がせながら言葉を続けた。

「いや・・・ほら、炎の英雄なんて本当にいるのかもわかんないし、何で会いたいって思うのか気になって・・・」

「う〜ん、どうしたいって言われてもなぁ。炎の英雄に会いたいって言ってんのは、俺じゃねぇし・・・」

「そうなの?」

「ああ、俺の連れがな。急に言い出したんだよ。『炎の英雄に会いたい』って」

ありのままの事実を話すと、ヒューゴは驚きの表情を浮かべて相槌を打った。

「・・・なんでその人は『炎の英雄』に会いたいんだろう?」

「さあなぁ。好奇心だって言ってたけど・・・?」

「ふぅ〜ん・・・」

それで納得したのかは判断がつかなかったが、とりあえず曖昧に返事を返したヒューゴを見て、ビクトールは心の中でこっそりとため息を吐く。

好奇心だ・・・とさっきはそう言ったが、ビクトールはがただの好奇心で炎の英雄に会いたいと言ったのではないだろうと思っていた。

別にこれと言った理由があるわけじゃないが、強いて言えば長年の付き合いから来る勘のようなものか。―――少なくとも、は相手が有名だから会いたいと言い出すようなミーハーな性格ではない。

それに加えて、今この地では厄介な出来事が多発していて・・・―――現にカラヤの村が焼き討ちにされ、グラスランドとゼクセンの溝はさらに深まった。

何かが動き出そうとしている。

いや、もう動き出しているのかもしれない。

はそれを知っていてこの地に来たのだろうか。―――それとも全くの偶然なのか。

今までの経験から推測するに、偶然だとはとても思えなかった。

何か・・・炎の英雄とは違う別の目的が、にはあるのではないかとビクトールは考える。

「・・・ったく。こっちが聞きてぇよ」

先ほどのヒューゴの質問を思い出して、彼には聞こえないようにひっそりと呟いた。

 

 

翌日、ようやく顔を揃えた協調性のない面々は、とりあえずこれからどうするかを話し合った。

結局は具体的にどうするといった目的もないため話はまとまりを見せなかったが、全員一致で『このままここにいる理由がない』と結論を出して、とりあえず大空洞に帰還する事に決定した。

大空洞に帰ったからといって何があるわけでもないが、経済状態の思わしくないここにこれ以上世話になるのも気が引けたからだ。

そうと決まれば早速・・・―――と荷物をまとめて宿を出た一行は、門の傍に集まったトーマスたちに気付き足を止めた。

トーマスたちはお世辞にも景気の良い顔をしてはおらず、その向こうには昨日会った評議会議員と、その後ろで出口を塞ぐように立つ騎士たちがいる。

何事かとお互いが顔を見合わせたその時だった。

「あ、あいつです!!」

騎士の1人がこちらを指差し、声も高らかにそう叫んだ。

その声に導かれるように、こちらを向くたくさんの目。―――かなり居心地が悪い。

「ふん、お尋ね者を匿うとは・・・。よほどゼクセンに逆らいたいらしいな」

「・・・お尋ね者?」

男の言葉に、再び顔を見合わせる。

男の言う、お尋ね者とは一体誰の事だろうか?

ビクトールにはもちろん心当たりがない。―――リリィたちもそうなのか、不思議そうな表情を浮かべている。

ふと視線をめぐらせて・・・―――ヒューゴと軍曹が気まずそうに顔を見合わせているのが見え、おそらく彼らには心当たりがあるのだろうとビクトールは納得した。

まぁ、心当たりがあろうがなかろうが、この状況で言えばゼクセンと敵対しているグラスランドの民がお尋ね者だと一番説得力がある。

と、それはまぁ置いておくとして。

この際誰がお尋ね者でも、大した変化はない。―――話がどんどんと不穏な方へと流れているのが分かった。

結局は、『お尋ね者を引き渡さなければ、ここを攻める』と話は締めくくられ、男が去った後騎士たちによって城の周りを取り囲まれてしまった。

このままでは帰るどころの話ではない。―――こっそりと脱出したくとも、周りを固められていてはそれも無理な話だ。

これからの事を深刻に話し合うトーマスたちを尻目に、ヒューゴたちはヒューゴたちでこれからどうしようかと顔を突き合わせた。

「ちょっと、これからどうする気?」

「どうするって言ったってなぁ・・・。どうも出来ねぇだろ?」

「なによ、それ!やる気あるの、あなた!!」

「やる気の問題か?」

「行って騎士団追っ払うくらいやりなさいよ!あんた傭兵でしょ!?」

「・・・無理言うなよ」

無理難題を吹っかけてくるリリィに呆れた表情を惜しみなく向けて、ビクトールはチラリとヒューゴを見る。

追い詰めた表情。―――何を考えているのか、安易に想像がつく。

「俺、行って来るよ」

案の定、予想に違わない結論を簡単に出して、ヒューゴは騎士たちの元へ歩き出した。

「ちょ、ちょっと待て!お前の気持ちも分かるが、無茶だって!!」

「でもこれ以上、この城の人たちに迷惑掛けたくないです!!」

強い口調に押し切られて、ヒューゴはビクトールが止めるのも気にせず騎士たちの方へ向かっていった。

それをため息混じりに見送りながら、ポリポリと頭をかく。

猪突猛進とはこういうことを言うんだろうと、こんな状況にも関わらずぼんやりと思う。

こういう人間を、ビクトールは何人も知っていた。

そして自分がそういう人間を見捨てられない事も。

結局は振り回されてしまう事も・・・―――身近な人間を思い浮かべ、重いため息を零した。

「・・・しかたねぇなぁ」

自分を納得させるようにそう呟いて、腰の剣を確認しながら足を踏み出したその時。

「ずいぶん、お困りのようですね」

涼やかな女の声が背後からかかり、思わず振り返る。

聞き覚えのある声。

淡い栗色の髪を肩口で切りそろえ、眼鏡を掛けた落ち着いた雰囲気を持つ見知った顔。

「よろしければ、手を貸しましょうか?」

隣に立つ、赤い髪の少年には見覚えがなかったけれど。

その女性をよく知っているビクトールは、驚くよりも前に笑みを浮かべていた。

「ぜひ、そうしてくれるとありがたいね」

ビクトールは優雅に微笑むアップルに向かい、手を差し出した。

 

 

久方ぶりの再会を喜ぶ間もなく、すぐに作戦会議が開かれた。

ヒューゴが自らの身を犠牲にしてまでこの城を守ろうとした行いは、全くと言っていいほど効果がなかった。

アップルと共にいた赤い髪の少年が言うには、ゼクセン評議会員の目的はヒューゴではなくこの城なのだそうだ。

ヒューゴたちはあくまで口実にすぎず、だからヒューゴたちが名乗り出ても軽くあしらわれただけなのだ、と。

「でもよ、あいつらの目的がヒューゴじゃなくてこの城なんだとして。じゃあどうすればいいってんだ?」

「それをこれから説明するんだよ、おっさん」

「お、おっさん・・・」

赤い髪の少年の言葉に、ビクトールは少なからずショックを受けた。

確かに自分の年齢からいってそれは間違いではないとビクトール自身も思うが、だからといってそう呼ばれたい訳でもない。

「おい、アップル。こいつ何者なんだ?妙に偉そうだが・・・」

「え・・・ええ。紹介がまだだったわね。この子はシーザー、その・・・」

「軍師の血筋に連なる者さ」

アップルの言葉を遮って、シーザーはさらりとそう言った。

「軍師・・・って、まさかお前・・・」

「まぁ、それはともかくとして。これからどうするかを話し合いましょう」

目を丸くするビクトールを何とか宥めて、アップルはそう切り出した。―――何の話をしているのか分かっていないヒューゴとトーマスに向かい、にっこりと微笑みかける。

「じゃあ、シーザー。説明してちょうだい」

アップルに促されて、シーザーは面倒臭そうにため息を零すと説明を始めた。

「要はそれほど難しい事じゃない。つまりお尋ね者のこいつらをこの城から逃がしてやればいいんだ。そうすればあっちは建前がなくなって引き上げざるを得なくなる」

「・・・逃がすっつったって」

確かに作戦内容としてはいたってシンプルで小難しいことは1つもない。―――ただし、それを実際にするとなれば話は別だ。

実際に騎士たちに城の周りを囲まれていて、その中で少数とはいえ見つからずに脱出できるとは到底思えない。

「ま、そこは何とかするさ。とりあえずいろいろと用意してもらう必要があるけどな。そこのおっさんにも協力してもらうぜ。アップルさんが言うには『優秀』な傭兵らしいし?」

わざとらしく『優秀』の部分を強調したシーザーに、ビクトールは大して気にしていない様子で笑みを零す。―――その後にしっかりとアップルを睨みつけているのだから、気にしていないわけではないらしい。

ともかくもいろいろと準備があると、指示をするために城へ向かったシーザーを見送って、アップルはビクトールに視線を向けた。

「まさかこんな所で再会するとは思いませんでしたよ」

「ああ、俺もだ」

お互い顔を見合わせて、小さく笑う。

「お前、何でグラスランドに?」

「グラスランドの民族の調査を。本当はダッククランに行きたかったんです」

その返答に、アップルがいろいろな民族の調査をしていて、それを本にしているのだと言う事を思い出す。

あまりにもタイミングが良すぎたせいか、何かあるのかと内心疑っていたビクトールは納得して1人頷く。

「それで、ビクトールさんはここで何を?今はさんたちと一緒に暮らしているんじゃなかったんですか?」

「いや、まぁ・・・そうなんだが」

「さっきの子供たち、確かカラヤ族ですよね?もしかしてさんも一緒なんですか?」

どこか期待に満ちた目で尋ねられ、困ったように頭をかく。

どう説明したものか。―――まぁ、在りのままを話す以外ないのだけども。

ビクトールはたちと共にグラスランドに来たこと。

そしてある拍子にはぐれてしまったこと。

今はたちを捜している途中で、たまたま知り合ったヒューゴたちの旅に便乗している事を説明した。

するとアップルは納得したのか、大きく頷いた後。

「でも、私も会いたかったなぁ・・・さんに」

そうポツリと呟いた。

とかなりの間会っていないアップルとしては、そう思うのも当たり前だろうか。

ビクトールは、「近いうちに会えるんじゃねぇ?」と言う言葉を飲み込み、乾いた笑みを浮かべる。

そんな適当なことを言うと、すごい勢いで怒られそうな気がしたからだ。

けれど彼は、何気なく思ったそれが妙に現実めいて自分の中に確固とした位置を築いたように感じた。

これと言った理由はない。―――ただそんな予感が、しただけだ。

普段はそれほど当たらない自分の勘だが、こういう時だけは妙なほど的中率が高いのだ。

この的中率が、賭け事にも反映すればなぁ・・・―――などと、ビクトールはどうでもいい事を思い、こっそりとため息を吐いた。

 

 

そんな個人的な思いなど関係なく、戦いは始まった。

こちらといえば、城壁に並べたカカシの出来そこないのような人形で、見た目的には戦力はほぼ互角

それほど戦える人間がいると思っていなかった騎士たちは、様子見のために一部隊だけを城に向かわせ、その部隊をこの城の主であるトーマスたちを筆頭に、何とか足止めをしている程度。

それもいつまでもつやら、といった雰囲気だ。

それにしてもよくこんなカカシで騙せるな・・・とある意味感心していたビクトールは、シーザーに従って場所の移動を始める。

戦いはかなり不利に思えたが、それでも何とか騎士たちをやり過ごし、ヒューゴ一行は無事城を抜け出す事に成功した。

軍師として策を立てていたシーザーも一緒に抜け出した事にはビクトールも驚いたが、彼の言う『いつでも誰かが助けてくれるわけじゃない』と言う言葉に同意する。

大切なモノは・・・―――守りたいモノは、自分の手で守らなければ意味がない。

例えどれほど無力であろうとも。

例えその結果失う事になったとしても・・・―――それがこの世界で生きていく中での唯一の手段なのだと。

騎士たちの追撃を逃れ、目的の違うアップルとシーザーに別れを告げて、ビクトールたちは大空洞を目指した。

彼らは今、確実に動き出した時代のうねりに巻き込まれていた。

 

 

◆どうでもいい戯言◆

アップル&シーザー登場。

最後の方がかなりいい加減。(寧ろ無理やり終わらせた感が・・・)

ゲームの内容がうろ覚えで、尚且つごちゃごちゃになっていて、詳しい事が詳細に思い出せない結果がこれだったり・・・。

お詫びの言葉もございません。

作成日 2004.2.26

更新日 2010.6.20

 

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