「こんにちは」

チャイムの音に依頼かと腰を上げ玄関に向かった新八は、開いた扉の前でにっこり可愛らしく微笑むにパッと顔を綻ばせた。

さん、もう大丈夫なんですか?」

「うん、もうすっかり」

言葉通り、普段と同じように微笑むを見て、新八もホッと胸を撫で下ろす。

あの春雨事件から、数日後の出来事。

 

おまけって不思議とお徳感があるよね

 

「おー、じゃねーか。どーしたんだ?」

新八に案内されて・・・というほど広い部屋ではなかったけれど、中に通されたはソファーに寝そべっている銀時の覇気のない歓迎を受けてやんわりと微笑んだ。

「実はね、この間のお礼をしてなかったなと思って」

「・・・礼?」

「うん。小太郎ちゃんと一緒に助けに来てくれたでしょ?」

新八に勧められてソファーに腰を下ろしたは、持っていた荷物を床へと下ろし、同じく起き上がりソファーの上で姿勢を正した銀時に向かいそう口を開く。

しかし銀時はそんなから視線を逸らし、気恥ずかしげに頬を掻きつつ、テーブルの上に置いてあったジャンプに手を伸ばした。

「あー、あれはそのー。ついでっていうか、たまたまっつーか・・・」

「それでも銀ちゃんが来てくれて、私嬉しかった。本当に助けられたし・・・」

「・・・

落ち着かない様子で言葉を濁す銀時の言葉を遮って、はにっこりと可愛らしく微笑み、言葉を噛み締めるようにそう話して、手を胸元へ当てる。

まるで溢れそうな感謝と幸せを、押し留めているかのように。

しかし次の瞬間発せられた言葉に、銀時はピシリと硬直した。

「だって、銀ちゃんがあの時止めてくれなかったら私・・・勢いに任せて何してたか解らないし

天使の微笑みとは裏腹に、なにやら不穏な空気を漂わせるに、銀時は乾いた笑みを零す。

かつての彼女の姿を知っているだけに、その惨状が簡単に想像できて恐ろしい。

さん、あの時って・・・」

を通した後、台所へ行っていた新八がお茶を淹れた湯飲みを持って戻ってきた。

おそらくは切れていた時のの姿を思い出したのだろう―――表情が心なしか強張っているように見える。

「ああ、うん。本当にごめんね、新八くん。私ったら感情の赴くままに切れちゃって・・・驚いたでしょう?」

「いや、まぁ・・・驚いたって言うかなんて言うか・・・」

そんなレベルじゃなかったんですけど・・・とは流石に言えない。

が銃を持っている事とか、その小柄で華奢な身体でどうやって天人を吹き飛ばしたのかとか、色々と気になる点は多々あるけれど・・・―――聞かない方が自分の為なのかもしれないと、新八は飛び出そうな言葉を何とか喉の奥に押し込める。

「ほんとに銀ちゃんが止めてくれて良かった。私って自分で言うのもなんだけど、切れると正気失っちゃうから。天人相手だけならともかく、新八くんや神楽ちゃんまでも巻き込んで問答無用で全員張り倒してたかもしれない

勿論、天使の微笑みで言う台詞ではない。

これも銀時が言っていた『相手の反応を楽しむ愉快犯』的発言なのかと考えたが、だからといって笑いとばせるほど新八は懐が深くなかった。

「それに、ほら。あの船って吹き飛ばしがいがありそうだったと思わない?水ぶっ掛けられたせいで持ってた爆弾全部ダメになっちゃったけど、そうじゃなかったら最初から爆弾使って盛大に吹っ飛ばしてたかも。まぁ、私が切れた原因の一つがそれなんだから、結局は結果はあんまり変わらないんだけど」

「・・・はあ」

鈴の鳴るような可愛らしい声で言われても、そうですね〜なんて同意するなど出来そうにないと新八は心の中でひっそりと思う。

銀時は既に慣れているのか、の台詞をあっさりと聞き流していた―――それを羨ましいと思いつつも、こうなったらお終いだという危機感もひしひしと感じるのだが。

それよりもどうにかして話題を明るいものへと変えたいと、新八は視線を泳がせながら話の糸口をそれとなく探す。

その時ふと目に付いた大きな袋に、新八は訝しげに首を傾けた―――その視線に気付いたも小さく首を傾げ、にっこりと微笑む。

「実はね、今日はお礼にみんなに良いものをたくさん持ってきたんだよ」

「良いもの?」

「きっと喜んでもらえると思うんだけど・・・」

そう言って先ほど床に置いた大きな袋を手に取り、え〜っと・・・と言いながらガサゴソと中身を探り出す。

一体何が出てくるのかと内心不安を抱いていた新八は、しかし次の瞬間、差し出された薄い紙切れのようなものを覗いて驚きの声を上げた。

「あっ!これってお通ちゃんのプライベート写真!?しかも僕が見た事ないやつだ!!」

手の中に収まった一枚の写真には、彼の愛してやまない可愛らしい少女が可愛らしい笑顔で写されている。

お通ちゃんの親衛隊長である彼は、ほぼすべてといっても過言ではないほどお通に関するグッズを持っている―――だというのに初めて見る生写真に、驚きと興奮が隠せない。

そんな新八の様子を見詰めて、は誇らしげに笑んだ。

「そうでしょ?だって私が直接行って隠し撮りしてきた物だから

「お前・・・何やってんだよ」

やる気のない銀時の突込みをサラリと流して、は再び袋を漁りだす。

「神楽ちゃんにはこれね。酢昆布買い占めて来たの。―――あれ、神楽ちゃんは?」

そうして引っ張り出した大量の酢昆布が詰められたビニール袋を手に辺りを見回して。

漸く神楽がいない事に気付いたは、不思議そうに首を傾げた。

「神楽ちゃんは定春と散歩に行ってます。でもきっと喜びますよ」

「ふふふ、そうかな?」

とりあえず酢昆布の詰まったビニール袋も新八へと渡し、その時の神楽の喜びようを想像したのか・・・も嬉しそうに微笑む。

しかしそれを一部始終見ていた銀時は面白くなさそうに唇を尖らせて、テーブルを挟んだ向こう側にあるへにじり寄るように身を乗り出した。

「んで、俺には何にもねーのか?」

「慌てないで。ちゃーんと銀ちゃんにも用意してあるから」

少しだけ拗ねた声色の銀時をやんわりと宥めて、は大きな袋の中から最後に残ったこれまた大きな箱を取り出す。

そうしてそれをテーブルの上に乗せ、効果音の口真似と共に勢い良く蓋を開けた。

そこにあった代物に、それを差し出された銀時ではなく新八が歓声を上げる。

「うわっ!すごい!!特大ケーキ!?」

「銀ちゃん、ケーキ好きでしょ?だから私が銀ちゃんの為に腕によりを掛けて作ったの」

照れたように微笑むは、おそらく10人中9人は釘付けになるほど愛らしかった。

その身体の中に恐ろしい悪魔を飼っていると知っている新八ですら、思わず釘付けになってしまうほどに。

未だかつて絡みでこんなにも穏やかな時間があっただろうか・・・と、新八はと関わった時間を振り返る―――その問いに、肯定の答えが出る事はなかったけれど。

「へぇ〜、さんって料理出来るんですか」

「勿論よ。料理も爆弾作りも大して変わりないし

「いや、大分変わると思うんですけど・・・」

素直に感心の声を上げると心なしか物騒な返事が返ってきたけれど、あえて気にしないようにと心掛け、早速ケーキに手をつけようとしている銀時を見た。

もしかすると何か混入されているんじゃないかという疑惑も新八の中にはあったけれど、それでも長い付き合いでを知り尽くしている銀時が何の躊躇いもなくケーキに手を出すのだから、の料理の腕は承知済みなのだろう。

見た目にも美味しそうなケーキは、糖分摂取を趣味としている銀時でなくとも手を伸ばしたくなるほどだった。

「でも、ほら。銀ちゃんって糖尿病寸前で、お医者様に甘いモノ止められてるんでしょ?だから特別に、糖分じゃなくて、塩分で作ってみたの

銀時がケーキを口に入れたその瞬間、が爆弾を投下する。

勿論故意にその瞬間を狙っていたのだろう―――止まる事無くケーキを口に入れてしまった銀時は、次の瞬間勢い良くそれを噴出していた。

「ぶふーっ!!おまっ!これえらい事になってんぞ!!」

ケーキを勢い良く口から噴出して抗議の声を上げる銀時に対し、は慌てず騒がず飛んできたケーキの残骸を綺麗に避けると、心なしか瞳を潤ませて銀時を下から見上げる。

「心を込めて作ったの。だから、全部残さず綺麗に平らげろよ。一欠けらでも残してみろ、どうなるか解ってんだろーな

絵的には、見目麗しい少女に涙目・上目遣いで懇願される役得な青年の図だというのに。

今ほど音声が映像を裏切っていると思える瞬間はないだろう。

「お前な・・・、なんで俺だけこんな仕打ちなんだよ」

「う〜ん・・・愛情の裏返し?」

何でわざわざ裏返すんだよ!そのまま持って来いよ!!

コクリと首を傾げるに、銀時は心から突込みを入れる。

しかしが作ったものであるだけにケーキをひっくり返すわけにもいかず、手に持ったフォークを宙で彷徨わせる銀時は、新八の目に哀れに映った。

「それよりも、ハム子ちゃんの事なんだけど・・・」

「サラッと流すな」

そんな銀時の抗議を無視して、今までの出来事などなかったかのように、はサッと表情を真剣なものへと変えた。

「うちに保護された時には、ものすごく危険な状態だったらしいの。私も戻って診てみたんだけど、身体中クスリ漬けになっちゃってて・・・」

「・・・そうなんですか」

またもや急な話題転換だったが、突っ込みを入れる事が憚れるほど重い話題に、新八はクラブで会ったハム男を思い出したのか、と同じく心痛面持ちで頷く。

「でも安心して。この私が全身全霊を込めて治療したから。もうすっかり身体からクスリも抜けて、立派に更生させたよ」

しかし爽やかな笑顔と共に告げられた言葉に、新八は思わず顔を強張らせた。

「何をしたのか物凄く気になりますけど・・・」

これから平穏に暮らして行きたいなら、聞かない方が良いと思うけど

「そうします」

この上げて落とす会話の遣り取りは、どうにかならないものなのだろうか。

言っても聞き入れられそうにないという事は解りきっている為、あえてそれを告げようとは思わないが・・・―――というか、彼の周りにいる人物は、多かれ少なかれそういう部類に入る人たちばかりだ。

「それで・・・これがハム子ちゃんね」

遠い目をしながらそんな事をつらつらと考えていた新八は、向けられた言葉にハッと我に返る。

を通した時には他に人はいなかったはずだと思いつつ視線を向けると、の両手には小さなピンクの物体が。

「つーかこれ、豚じゃないですか!!」

「え?」

「え?じゃないですよ!何意外そうな顔してんですか!!」

ぶひぶひと気の抜けそうな鳴き声を上げる小動物に、新八は心の限り突っ込む。

ハム男を公子の代わりにするという神楽も神楽だが、これを公子だと言い切るだ―――差し出された身代わりは、もはや人間ですらない。

「あれ〜?おかしいな。ちゃんと連れて来たと思ったんだけど・・・」

「ってか、これわざとだろ。わざとやってんだろ、これぇ!!」

問うまでもない事だった。

わざとである以外の何者でもないだろう―――もし本当にこれが公子だと思っているのなら、それこそあんたが病院に行けと叫びたい。

勿論、相手にそんな事を言おうものなら、彼の未来は保証されないが。

そんな全身全霊で突っ込みを入れる新八をにこやかな笑顔で見詰めたは、何の前触れもなく素早い動きで手を伸ばし、片手で身を乗り出している新八の両頬をギュっと掴んだ。

「ふふふ、落ち着いて新八くん。あんまり怒鳴り散らされると私、傷心のあまり爆弾投下しちゃいそうよ

「ごべんばばい(ごめんなさい)」

にこやかだというのに凄みのある笑みで脅され、新八はすぐさま態度を改める。

ここで更なる突込みを入れても、自分の身が危うくなるだけで何のメリットもない。

「それにしてもおかしいな。どこ行ったんだろ、ハム子ちゃん」

そんな新八を見て満足したのか・・・あっさりとその手を放し、右手を口元へと添え困ったように首を傾げる。

その動作が先ほどの行動さえも帳消しにしてしまえるほど似合っているのだから、もうここまで来ればすごいと賞賛する他ない。

そんな微妙に生温かい空気が漂う室内で、確信犯ですっ呆けるを相手にどう対応すれば良いのか解らず、新八は居心地悪げに身を捩る。

なんとも言えない、重いのか寒いのか解らない沈黙が落ちたその時。

「銀ちゃ〜ん。そこでハム拾ったアル!今日の晩御飯はこれに決まりネ」

この場の微妙な空気を破るように、散歩に行っていた神楽と定春が扉を破らんばかりの勢いで帰ってきた―――大声のおまけつきで。

それに救われたとばかりに常にないほどの笑顔を浮かべて、新八は神楽を出迎える為に勢い良く振り返る。

しかしその瞬間目に飛び込んできた光景に、彼の長年培われてきた突っ込み魂が炸裂した。

「あ、神楽ちゃんお帰り・・・って、それハムじゃないから!!」

「おー、立派なハムだな。食いがいありそーだ」

「あんたら、いい加減にしろよー!!」

便乗してボケる銀時に、ますます新八の突っ込みはヒートアップする。

これも日常。

万事屋に来てからと言うもの、突っ込みが磨かれているような気がしてならない。

それでも一時は失われてしまうかもしれなかったこの時間は、ある意味幸せの象徴なのだろう。

「ふふふ。このままだと銀ちゃんよりも先に、新八くんの血圧が上がりそうだね」

「笑い事じゃないですよ、全く・・・」

まさに他人事と楽しげに笑うに、脱力したように新八はがっくりと肩を落とした。

 

 

夕陽が辺りを照らし、窓から差し込む光が部屋の中を真っ赤に染め上げていく。

夕方のセールがあると新八は財布を手に買物に行き、神楽は大量の酢昆布を持って再び定春と共に何処かへと出掛けて行った。

なんだかんだと騒いで賑やかだった部屋は、今はすっかりと静けさに包まれている。

「もう、大丈夫なのか?」

銀時と、2人だけが取り残された空間で、その静けさを破ったのは珍しく真剣な銀時の声。

それに窓の外を眺めていたは視線を銀時へと移し、穏やかににっこりと微笑んだ。

「うん、もう大丈夫。銀ちゃんにも心配掛けちゃったみたいだね」

こちらも珍しく棘の含まれていない鈴の鳴るような声で、ほんの少し申し訳なさそうに眉を寄せ、苦笑いを零しながらそう答える。

新八たちが捕えられていたのだから、銀時があの場に現れる事は当然の事だった―――それはにも十分に解っている。

けれど彼の言葉通り、の救出が本当に『ついで』なのではないという事も、彼女にはよく解っていた。

自分は彼にとってそういう『特別』な位置に置いてもらえている事を、は身を持って知っている。

「俺ぁ、別に・・・」

「小太郎ちゃんもすごく心配してくれたみたいで。最近はいつにも増して過保護度がアップしちゃったんだよ」

「・・・ああ〜」

照れ隠しにそっぽを向いて口ごもる銀時に、はクスクスと笑みを零しながらそう言葉を付け加えた。

彼がこういった感謝の言葉に弱いのもちゃんと知っている―――お礼を言いたいのは勿論だけれど、相手を困らせる気は毛頭なかった。

ちゃんと逃げ道を用意してやれば、銀時はしっかりとそこを見つけ、遠い目をして呆れたように呟く。

桂のその過保護っぷりが簡単に想像できるのだろう―――元々に対しては必要以上に甘い桂の事だから、今の状態がどれほどのものかと考えると頭が痛くなる。

なんやかんやと世話を焼く桂を想像してか・・・銀時は重いため息を吐き出した。

そんな様子を無言で見守っていたは、再びクスクスと控えめに笑みを零す。

「ふふふ。こうやってると、なんだか昔に戻ったみたい」

「・・・そうだな」

小さな呟きに、銀時の吐息のような返事が返って来る。

それに薄く目を細めて、は再び窓の外へと視線を向けた。

赤い赤い夕陽は、かつての戦場の光景を思い出させるようで、少し落ち着かない。

けれど記憶のそれよりも断然綺麗な色を放つ夕陽は、不思議と心を和ませた。

「でも、今なんだよね。どう足掻いても、過去になんて戻れはしないし」

「・・・

不意にポツリとそう漏らしたに、銀時は返す言葉が見つけられず、ただ小さく彼女の名前を呼んだ。

破天荒で、我が道を行くが如く強引さで事を進め、何の穢れも知らない天使のように微笑み、大量の毒を含んだ暴言を吐く。

そんな何にも囚われず、自由気ままに生きているように見えるもまた、たくさんの傷を負い、苦しみを・・・そして絶望を抱えている。

それを誰にも垣間見せる事無く生きていく彼女を強いと思い、そしてあんな風に切れてからではないと本音を漏らせない彼女を弱いと思う。

そんな苦しみを抱きながら、何故彼女は今も戦っているのだろう?

今更天人を追い出す事など出来ないだろう事を、彼女が理解できていない筈はないのに。

そんな事をぼんやりと考えていた銀時は、自分へと視線を戻し綺麗に微笑むを見て現実へと引き戻された。

時には迷いもするけれど・・・―――それでも失われる事のない強い光が宿った瞳に、ホッと安堵すら抱きながら。

「それにね、戻ろうとも思わない。哀しい事とか悔しい事とかはたくさんあったけど、後悔はしてないから。私はまだ、すべてを失ったわけじゃないから」

「ああ、そうだな」

決して強くはないけれど、それでもはっきりと告げられたその言葉に、銀時もまた苦笑に似た笑みを漏らして頷いた。

そう、たくさんのものを失ってしまったけれど。

戦って、戦って、戦い抜いて・・・そうして自分の手で掬えなかったたくさんのものに、胸が痛くなる時もあるけれど。

それでも残ったものもある―――例えばこの、自分の前で微笑む大切な人だとか。

柔らかい雰囲気が、2人を優しく包み込む。

そんな温かく穏やかな雰囲気の中で、同じく穏やかに微笑む銀時に向けて、はにっこりと笑みを浮かべた。

「それに昔の自分の行いを忘れるのはともかくとして、過去を振り返って後悔するなんて私らしくないと思うんだよね。私は自分の前に立ちはだかる邪魔者どもを問答無用でぶっ潰して前を見て歩いていく方が性に合ってるわ

「もうちょっと穏やかに生きられんのか、お前は」

上げて落とす会話は、尚も健在だったらしい。

先ほどまでかなり良い雰囲気だったというのに・・・無残にも破って捨てられてしまったそれに対し突っ込みを入れつつも、言動とは裏腹に穏やかに微笑むを見詰めて、銀時もまた柔らかく微笑んだ。

この強いようでいて脆く、それでも最後にはすべてを吹っ切って笑っていられる強さを持っている、矛盾だらけの大切な人。

どうか彼女が、いつまでも幸せそうに微笑んでいられるように。

そうして願わくば、それをずっと見続けていられるように。

そんな柄にもない事を願いながら、銀時は照れを隠すように窓の外に顔を向ける。

窓の外はすべてを温かく照らすように、優しい光に満ち溢れていた。

 

 

◆どうでもいい戯言◆

これがお徳かどうかはさておき。(置いとくな)

前回ラストの桂の提案により、銀時たちの元へお礼にきました。

お礼というよりは、寧ろ嫌がらせ感たっぷりですが。

ちょっと弾け具合が物足りない気もしますが、今回はお礼なので。(と言い訳してみたり)

作成日 2006.7.31

更新日 2007.9.13

 

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